きっときみのことおれはわかんないんだよね

童貞を竹で割ったような性格

死んだ僕の彼女

あいも変わらず燃費が悪い

 

何かあればすぐ故障する

 

スピードが出るわけではないくせにこまめなメンテナンスが必要

 

そんな俺という車のボンネットを開けて今日もどうしたものかと頭を抱えている

 

恋人には自分で別れを告げた

俺の事を好きでいるために、他の男と会うようになったから

俺も結果として同じような状態なので飲み込めば良いはずなんだけどそこの部分が壊れていて受け止める事が出来なかった

じゃあもう俺じゃなくて良いよ

 

ドラマ「silent」を2人で観ながら湊人の悪口を言っていた。

「独りよがりすぎる」とか「私こういう人大嫌い」とか。まさに今俺がそういう状態になってしまったので俺のことが大嫌いなのかもしれない。

でも仕方がない。

ドラマの中では新しいワンピースを久しぶりに出会った昔の恋人と会うために着ていくシーンがあった。

最近の俺もそんな連続だった。

いつも会えた時間にスケジュールが入ったり、「あれ?この話してなかったっけ?」と言ったり、昔はお互いの休みを合わせてたのに俺が仕事で休めない日に休みを入れたり、身体に痣が出来れば「なんで出来たのかわかんない」と言ってたり。まぁそんな些細な事と言えば些細な事が積み重なって、もう俺がいなくても大丈夫なんだろうなと思った。

多分、まだ俺の方がその相手より好きなんだろうなとは思ったけど、別に勝ってるから良いとかでもないよな。

きっと彼女の人生の中で、彼女のことを俺以上に考えた奴はいないし、俺より高い解像度で彼女を見られる奴なんていない、と頭では思ってたけど、実際そんな事はなくて、もう終わりに向かって走ってて、そこにたどり着いただけのこと何だろうなと思った。

この先もずっと好きでいるよ!とか、幸せになってね!とか、出会ってくれてありがとう!とか前向きなワードがいくつも浮かぶが、こいつらは俺を殺しにかかる毒だということを経験上知っているので脳内で廃棄した。

逆に、俺が悪かったよ!とか、俺のせいでごめん!とかも結局俺の事を殺しに来る凶器なので脳内の川底に棄てた。

 


ありがとうもごめんなさいもない。

 


ただ、必要で求め合って、必要なくなって手放し合っただけなんだと思う

 


だから俺の人生にも多分もう彼女は登場しないし、彼女の人生においてもそう。

彼女は俺を罵倒し軽蔑する事で心の筋肉をつけて目の前の壁を登り切るつもりだろうと思う。今までもそうだったみたいだから。

俺はぼんやりと壁を眺めて、気分が悪くなってその場にうずくまって、しばらくしたらまた顔を上げて、壁無くならんかなぁ、とやり過ごして、さらに時間が経てば「この壁じゃない方に行きたくなってきたな」とその場を立ち去るんだろうと思う。

 


彼女が他の男のことを好きと言うことを想像したり、そんな事を考えては絶望しているこの時間も、慣れてしまえば過去の事になるのを経験上分かっているし、何より俺が好きだ好きだと言ってる間にもそう言う事が起こっていたのだと思うと、我ながら間抜けだな、と自分を嘲笑してしまう。

それだけ好きだったんだろうな。

 


とりあえずどんなに頭がモヤモヤしても時計の針は進み腹が減り眠くなる。

日銭を稼ぎ、社会に貢献し、日々を生きる。

 


間抜けな自分を、褒めも蔑みもせず、また生きていく。

 


お帰り、退屈な日常。

ただいま、何も出来ない自分。